器「ジン」

「ジン」

色鉛筆で、「器」を描いた。理由などなく、器を描くのが昔から好きだ。
ちなみに器を作るのも好きだ。

私の中にはどんなジン(魔人)がいるんだろうと、
アラジンを見ながら思うことがあった。
私には間違いなく、じめっとした湿気を蓄えた
地下の洞窟がある。そこに住むジンの気配を感じる。

そりゃ、あんなことこんなことあった中を生きていれば、
閉じ込めてしまわなければならないものもあっただろうし、
時が来るまでは、開きたくない過去もある。
時が来たって、開きたくないわな。
全部がオープンに、なんて、そううまく人生は光らない。
そこには必ず、ジンも巣食っている。

器を描きながら、
いつの間にか、自分の心の深くに広がる洞窟の世界を想像していた。
そしたらお腹がぷっくり膨れたような、ジンのような器になった。

決して、性悪の器ではないことが、
分かる。
描いたものだけにわかる
この親近感。
この全部の色合いが、私のように鈍く重い。

私は大学で、20歳くらいの子どもたちを前に、
「色彩自然学」講義で、こう言うことがある。

「男の人も、妊娠するんやで。
女の人だけやないんやで。」

と。生徒はぎょっとして目を丸める。

受胎して、出産する経験は、女性だけのものだと思うかもしれないが、
男性であっても、精神的に妊娠する。そう言いたいのに言葉がいつも足りない。

受け止めて、身ごもって、体丸ごとで時間をかけて変化して、
メタモルフォーゼする生命の様子は、男も女も関係なく起こる。
考えも、アイデアも、そうやって成熟して、やっと表に出てゆく。

「妊娠できる男になれ。」
ココロでそう思っているから、
こんな器がでてきたんだと思う。

私の中にいるジンは、妊娠できる男なのだと感じた。
やれやれ、厄介だ。なかなか前に進めないのはこのためか。



あなたは、色鉛筆で、どんな器を描きますか。

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