色と自然から心を見る- 緑

色彩は人間の心やイメージ、そして行動にまで影響を与えます。
それは、色というものが、なかば光なかば闇でできていて、人間の心の意識界だけでなく、無意識界にまで行き渡ることのできるイメージ言語だからです。

「光」と「闇」という世界を創り出す根本原理の関係性により、生まれる多様な色彩は、
その光の程度と闇の程度、また、そしてそれらの戯れ方(混合や結合の程度)により、
多様な色として生起するものです。

例えば「緑」という色彩が人間に「安心感」を与えるのは、我々が猿人だったころ、樹上で緑に囲まれる中で安全に生活ができていたことのイメージが、魂に刻まれているからだと言われています。
「魂」とは心理学において、「無意識の中心」にあたりますが、
「緑」と人類の進化や生命との関係性において、今の「私」であることを超えたところにある集合的なものとの繋がりに思いを馳せ、色彩を選ぶ「私」に返し、今の「私」を見つめることができます。

筆者はネガティブで歪んだ人間なので、多少毒舌に聞こえるかもしれませんが、どの色もいいところも悪いところもどちらもありますが、色彩自然学から見た色の解説をほんの入り口の部分だけ、お伝えしたいと思います。

緑 〜GREEN〜

KEYWORD:バランス / 無難 / 一般的であること / 群れる / 隠れる / 繰り返す / 依存する / 成長 / 混在 / 没個性 / ごまかす / 受動的 / 植物的 / 平和 / 可もなく不可もなく / 質より量

自然の生命は、はじまりのとき、どの生命も本質的に「緑」を体験します。

つまり、「緑」は、あらゆる自然、そしてあらゆる生命のはじまりに与えられた、「未熟なカオスである」ということが「緑」を考える際の礎の感覚になります。
人間にとって、最も平和や安全を感じる色であるのは、この「緑」だと言われています。それはなぜでしょうか?

この植物シンボル色である緑は、母なる大地との結びつきを前提としている色です。この世に受肉した植物は、胎内にいたころの胎児ではもうありません。この世に生まれ落ちたスタートを切っています。

母なる大地と結びつき、庇護され、栄養を供給される中で、生命はやっと促進されます。
生命はどの生命も、自分と同じものを生み出す能力が与えられていると言いますが、
緑は、光と闇、乾燥と湿気、黄なる世界と青なる世界を往来しながら、
無名の同じ生命を繁茂させることで、その形態を向上させてゆきます。

母なる大地に依存した形で「緑」は生息します。
母に依存し嬰児(みどりご)は育ち、、母なる地球において原核生物(緑が多い)もはじまりを迎えます。
この世に受肉し、始まりを迎えた生命にとって、呼吸活動のような、行ったり来たりする水平運動は、生命を維持するための基本的な不可欠な活動です。緑は可能性の塊のような未分化なものを抱えながら、生命維持、身体成長に集中します。
この反復活動をはじめた自然が、緑を宿します。
そして、生命は「緑」を基盤としてやがて、「自己」を立たせるための戦いへと向かっていくことになります。

「未熟なカオス」である緑は、決して意識的な色彩ではありません。
どちらかというと、まだ無意識的な活動に圧倒されている状態でもあります。
その「緑」の時間を、青虫が葉を食むようにひたむきに過ごすことこそが、
私たちが創造的な人生を歩んで行くことの基盤になります。

緑を手にとるとき

緑を手にするあなたは、生活することや今ある1日1日を過ごすことに重きがあり、
それら1日の質を高めていくというよりは、1日を無事に終える、こなしていくことの方が、今は大切な時期かもしれません。
会社などの母体に属し、懸命に日々やるべきことを経験していくしかない時期などは、「緑」と呼応することがあります。
自然の生命は、緑の葉が多く生い茂りながら、1つの果実へと至るように、量をこなしていくことで、唯一の大きな何かを形成していくことができる力を持っています。

青虫が多くの緑の葉を食んで、それをなんどもなんども続けて蝶になるように、
緑の時期を行ったり来たりしながら過ごしていくことで、
地を這うような生きものが蝶になって空を飛べる変化を迎えるくらいのことが起こります。

今、抱いているだろう現実に対する着実な一歩一歩は、必ず大きな唯一の何かに繋がっていきます。
焦らず、蝶になる青虫のように1つずつ、緑である今の無名の時期を、大切に過ごしてください。

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