木を描く

色鉛筆で木を描いた

木を描くことで、自分という存在の
「全体」が意識されることになるなと思う。
 
陽があたり、落ちた木陰に座って、
葉の間を見上げることが好きだった。
足元の土、草花、虫たちもいる。
耳を済ますとそこここでカサカサ。
葉ずれの音、木漏れ日。いろんな緑。
青臭い匂い、樹皮のごつごつした肌、
そして、安心感。
 
描いていると、
この木がどんなものと関わってそこに立っているかということに
思いが向かってゆきます。
この環境に根付くということ。
その年月も感じます。
 

ひとつの生命であるというのに、
なんて複雑なんだろうなと思います。
 
湿気も乾燥も、相容れない世界にまたがり、
地上にも地下にも手を伸ばす。
このようなまとまりをもった存在に
年月をかければ、どうにかなれるもんなのだろうか。
 
木を見ていると、希望を感じる。
異様な形の木もあって、でも、その異様なまま生きながらえ、
凛としているところが、木にはある。
 
私という存在も、きっと異様なんだろうな。
それでもかまわない。
たとえ一部が損なわれて、死んでしまっていたとしても
その空(うろ)丸ごと生きてゆきたい。
私の生命なら、
私の空を、私が誰より味にして大事にしてやろう、
そう思えるから、木を描くことが好きです。

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