大地へかえる

落ち葉が目立つようになってきた。
夏の暑さが和らぐと同時に、木々の葉が、木々の実が、赤々と重力を帯びて、ダイビングしてゆく。
大地へと生命が還ってゆく時期がやってくる。
昨日、あんなことを言いあっても、
結局家族は家族なのだ。

私は、波風の立たない平和な家庭では育たなかった。
それが今では、人間らしい家族だと前向きに思えるようになった。
我ながら信じがたい成長だと思う。
それもこれも、自然界のおかげなのだ。

自然界は「美しい」も「醜い」も、ない。
正しいか間違っているかも、関係ない。
それは圧倒的に途轍もない巨大な循環で、
生まれた力のそばから、それをのみ込む力がある。
これは私たちの及ぶところではない。
そういった畏敬の念に、色彩を探求している過程で必ず出会う。
これに出会うとき、
私は手をとめて、それを感謝して、深呼吸することにしている。


家族が喧嘩するとき、
これは自然界だなと思うときがある。
真実も嘘も一緒くたにして。
あれもこれも持ち出して
何を言い合っているか途中でわからなくなって、
涙と鼻水でどろどろになって。
最後にはどうでもいいことでふと笑って元どおりになったり、
勘当するぐらいにまで反発したり。

私たちが自然の一部であるというなら、
私たちひとりひとりの宇宙は、
腐ることだって、醜くなることだって、
離れることだって、くっつくことだって、
その豊かさのために厭わないんだろうと思う。

私に与えられた生命は、
きっと余すことなく私の自然を、
そして色の全部を、
経験してみたいと思っているのだろうと
考えてみる。

魂が豊かであるということは、
なんとなく、この続きにある気がする。

喧嘩をしながら、言い合いをしながら、どこかで、
大地へ還るために、ダイビングする褐色の葉っぱのことを
思い出している。

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