根爺(こんじい)に出会う

描いたものと出会うときがある。ㅤ
それは既視感のようなもので。

爺さんは、根っこのように頑固だ。
なのに、時折少年かもしれず、
はたから見れば「やめとけ」と思うものをも
あっさりとやり始める。

私のじいちゃんも、
そんな爺さんだなと思う。
「もうあと何年も生きられん」と
ぼやくことが多くなった。

私は
日々考えてしまうことの中にあり、
手放すことも自分次第だと少しは知り、
ふと手を休める。

もし、今、そばにいてもらいたい生き物が
いるとしたらどうだろう。
色鉛筆を手に、
どんな生き物かを半分寝ながら描いていたら、
ほどなく、【根爺】が出てきた。

気持ち悪い色味をした、
頑固そうな黄色の目とへの字口をした、根っこの爺さん。

根っこが広がる世界には、
私たちの想像などはるかに超えた
どろどろとした源泉のような知恵やたくましさがある。

それは、包容力と呼べるほど善良な感じもなく、
理路整然と呼べるほど、整ってもいない。
あれやこれやが結びついていて、
それが説明できなくても
得体の知れない力となって細部に行き届いてゆく。

そんな【根爺】が
時折、私の出来事を、まだ闇雲なのに転がし始める。
やめとけばいいものを。苦い思いをすることになる。

それでも何年か経ったときに、
私は【根爺】にむちゃくちゃ感謝することになる。あの時はとても腹が立ったのに。
経験できていたことの意味を。今はもう感謝しかないほどに。

【根爺】の口癖は、「今、わからんでもええ。いつかはわかる」

【根爺】がきっと私の中にいる。

そんな矢先、東寺に行く機会を得て、そこの桜の木の根が、
【根爺】にそっくりだったことに、涙がでた。

Follow me!