自然のいろんなことを知りたい!色彩自然学ラボです、よろしくお願いします☺️
私はよく川沿いを散歩し、鳥に会います。
鳩や雀にはじまり、ムクドリ、ジョウギタキ、ウグイス、メジロ、モズ、シロハラ、ツグミ、カワセミなど、たった数時間の散歩でも、片手では数えられない数の鳥たちと会うことができます。
彼らは木々の間を飛び回り、停まって、周りを見渡したり、虫を食べたりして、また飛び立ちを繰り返します。ざわざわと鳥たちの動きに、枝葉がざわめき、その動きはまるで「風」のようだと感じることがあります。
目を瞑ると、鳥の声が聞こえます。みなさんも鳥の声が聞こえたら、目をつぶって耳をすませてみてください。転がすような流れるような声で泣く鳥や、犬のような声でなく鳥や、カエルのような声を出す鳥もいます。どんな鳥が近くにいるかが、少しずつですが感じられるようになってきます。
鳥は、鳴き方も、飛び方も、食性も、彩りも、形も、それぞれに個性が違います。私たちと、まるで同じです。
今回は、コガモの緑色があまりにきれいだったので、コガモについて少し綴ります。
コガモのオスとメスの見分け方
コガモは、秋あたりから、暖かくなってきた春の遅い時期まで見られる渡り鳥です。
日本よりも北側で子育てをして、また冬を越すために日本に戻ってくるため、日本では「冬鳥」に分類されています。
日本に来るカモの中ではサイズが小さい、ということでコガモと呼ばれています。だから漢字にすると、”小鴨”で”子鴨”ではありません。
コガモのオスは、頭部あたりが緑色をしています。光沢があるように輝いて見えますね🤗
コガモのメスは、羽の模様の繊細さや曲線の重なりが美しく、羽の一部分にだけ、この緑色が見て取れます。よく、「メスは地味な色をしている」と言われますが、コガモは地上に巣を作ります。天敵などから身を守り、種を維持するためにも、このような褐色系の色彩を身に宿しています。
生き抜く環境に溶け込むように、体色を宿していくのですね。
オス・・・頭部の過眼線が青緑色(鴨羽色)
メス・・・全体的には茶系で、羽の一部分が青緑色(鴨羽色)
鳥類というのは、どんな鳥であっても、一般的にはオスの方が派手な色をしていると言われています。
さて、カモのことを知るのに、面白いのはここからです❣️
オスは求愛のために身を呈して色づく!
カモはコガモに限らず、
日本に飛来したときは、メスと同じような羽色をしています。
そこから繁殖期を迎え、
オスは、メスに求愛するために
この色彩美や模様を、自ら作り出していくそうです。すごい!
そして繁殖期が終わると、
メスの体色、羽色と同じような色に戻るそうです。
色を自ら作り出して、色の力をかりながら、生き物が生きているのが伝わってきますね。
また、このメタリックな青緑色は、
外敵や捕食者にみつかりやすくなります。
そんな危険を冒してでも、
メスに求愛をし、いのちをつないでいくことの大切さや渇望を、感じさせられます。
求愛シーズンが終わった後には、またメスと同じ元の模様や羽色に戻り、
子どもたちを引き連れて、できる限り環境に溶け込みながら生きる活動を全うしていきます。
9月にカモたちが日本にやってきたとき、「メスばかりだな〜」と見えるのは、このためなのですね。
もはや、メスの羽色や模様というのは、
メスだけを示すのではなくて、
それぞれのカモ固有の羽色や模様ということなのでしょうか。
みなさんもぜひ秋に渡り鳥のシーズンがやってきたら、
冬の求愛シーズンにかけてのこの雄の羽色の変化を目にしてみてください☺️
鴨羽色(鴨の羽色・青緑)のこと
この鴨のメタリックな輝きのある青緑色、
とてもきれいな色ですよね。
鴨羽色(かものはいろ)とか、真鴨色(まがもいろ)とか呼ばれています。
少し翳りや暗さがある青緑色です。
日本ではその出展を、『万葉集』にまでさかのぼります。
鴨羽色をうたった『万葉集』
このうたの意味は、
「水鳥の、鴨の羽の色のような春山のように、あなた(思いを寄せるあの人)の気持ちがはっきりしなくて、もどかしくてなりません。」という、
片思いの心情をうたったものです。
青にも緑にも光の当たり具合によって輝きが変わる、この色の特有の曖昧さ、移ろいやすさをとらえたうただと感じます。
英語での鴨の羽色:teal(ティール)
teal green (ティールグリーン)や teal blue(ティールブルー) という色の名前に馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
teal(ティール)という言葉は、マガモやコガモを表す言葉だそうです。
鴨の羽色が、光の具合で緑がかったものを「ティールグリーン」、青みがかって輝く色を「ティールブルー」とするようです。
この鴨の色が、tealの色の由来だったのですね。
話題の「ティール組織」の「ティール」の意味
ティール組織ということが昨今話題になっています。
ティールとは、上述したように鴨の青緑色が由来になっていると考えられ、そのような青にも緑にも見える中間色ということが、「ティール組織」を示す象徴になっているそうです。
今までの権力を集中させたリーダーを置くやり方ではなく、ミッションは共有しながらも変化に対応できる「進化したやり方」という意味合いが、込められているそうです。
このあたりの人類と色との関係性というのが、奥が深そうですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これからもう、彼らに出会うたびに、鴨羽色(青緑色)を探してしまうのではないでしょうか🤗
寒い冬に、冬越しをするためにやってくる鴨たち。
川に、池に、鴨が在るのを見られるだけで、私は少し心があたたかくなる気がします。
子育てをしている鴨たちが日本では見られることも、楽しみの1つです。
季節とともに、巡ってくるものとともに、たくましく生きている仲間がいることを心強く思いながら、
ここまでとしたいと思います。
最後に、潜水が苦手とされるコガモが、水中をもぐろうとしている様子とともに。
お尻側のフォルムが、ほんとうにかわいいです。「がんばれー」と声をかけてしまいます。
これからも自然とともに歩き、
自然からまなびながら、柔軟に生きていける個人や社会にむけて。
自分の足場から、発信してゆきたいと思います。
驚きとわくわくを忘れずにいたいですね。
応援をよろしくお願いします。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました😌