今の時期、少し草むらを散歩するだけでバッタに出会うことがあります。
バッタの体色には緑色もいたり、茶色もいたりすることが
不思議になりませんか?
今回はそのバッタ(トビバッタ)の体色に、どうして緑色や茶色がいるのか?
について考えてみたいと思います。
お子様でバッタ好きの子がいたら、ぜひ教えてあげてくださいね。
緑色バッタと茶色バッタの両方がいる理由
実は、バッタは、生まれた周りの環境により、体の形態や色、
そして行動範囲や性格などにも違いが起こる生き物です。
これを、難しい言葉ですが、「相変異」(そうへんい)と言うそうです。
相変異(そうへんい)とは?
”さまざまな生活条件、特に個体群密度(こたいぐんみつど)の変化によって、
Wikipedia
異なった姿と行動の個体を生じること”
簡単に言うと、
バッタの体の色(緑や茶色)や形、ふるまい方や性格に違いがあるのは、
そのバッタの生まれた環境による
ということです。
さらに、バッタにとって生まれた環境の中でも、
とくに「個体群密度」(こたいぐんみつど)といって、
面積あたりの個体の数が多いか少ないかで、
体の色に影響が大きいと言われています。
群れているか、いないかで体の色が変わる!?
個体群密度については、
個体群密度が高いということは、その環境にはたくさん同じバッタがいる(群れている)ということで、
個体群密度が低いということは、その環境には同じバッタがあまりいない(群れていない)ということになります。
個体群密度が高いと、バッタは黒ずんだ色(茶褐色)になると言われています。
また、
個体群密度が低い(少ない)と、バッタは緑色になると言われています。
ちなみに緑に生まれたバッタでも、
その繁殖力が多くなって個体数が多くなれば
茶褐色に体色が変化するそうです。
では、どうして個体群密度(仲間が多いか少ないか)によって、色が異なるのでしょうか??
緑のバッタの理由と秘密!
バッタは孵化直後の幼虫では、みんな、緑色か薄い黄色をしています。
バッタが生まれたその環境において、個体密度が低い場合は、体の色はその環境に応じた色になります。
緑の草が多い場合は、緑色になります。茶色い場所であれば少し茶色がかった色が入ります。
これを「隠蔽色」(いんぺいしょく)と言いますが、
背景の色によって、少ない個体数でも身を守り生命をつなぐことができます。
バッタが生まれるのは緑の場所が多いので、緑色のバッタをよく見かけます。
草むらの緑に隠れられれば、のびのびと飛び回ることができて、
生命のバトンをつなぐことのできる可能性が高くなるわけですね。
上手に草むらの風景に溶け込みながら身を守ることで、
少ない個体数でも次の生命をつなぐことができる。
これが緑色のバッタの秘密なんですね。
そして、そんな緑のバッタの性格は
やはり大人しく、謙虚になるそうです。
群れで守られているわけではないので、
自分で自分の身を守るための警戒心も強いです。
茶色のバッタの理由と秘密
先の緑のバッタとは逆に、
個体群密度が高い、つまり仲間が群れて生息している環境の場合はどうでしょうか。
周りに仲間が溢れかえっているときは、
このバッタたちの体色は、すぐに茶色や黒色に近い色になるそうです。
孵化直後の幼虫は緑色か黄色をしているのは同じですが、
わずか数時間のうちに茶褐色の模様が現れると言われています。
性格についても、緑のバッタとは真逆で、
攻撃的で警戒心というものがあまりありません。
群れて自分達を守ることができるため、大群で移動します。
大発生のときなどは、太陽を遮るほどの長く広い群れで移動する姿などが見られます。
ここ数年で、トビバッタ類がアフリカ大陸や西アジアなどで大発生を起こしてるニュースが耳に新らしいです。
▶︎アフリカやインドで大量発生のバッタ、日本は大丈夫か|日経ビジネス
色の本質から見たバッタの色の考察
緑で生まれながら、時と成長とともに赤みがかってゆくことは、
色の本質的な観点からみれば、自然界の宿命と言えます。
空の色が夕暮れに高まってゆくように、生命はみな、始まりから赤みがかり、高まってゆきます。
ただ、個体群密度の高いところで生まれたバッタは
早い段階(生まれて数時間)で体色が赤みがかり茶褐色を示すことが興味深いです。
移動力についても個体群密度の高いところで育つ茶色や黒色のバッタは、
かなり遠い距離を移動できるそうです。
対して、緑色のバッタは移動力がそれほどありません。
こういったことから、茶色のバッタには
体の節々の成長が頑丈であったり、早い成長であることなど、形成力の強さが感じられます。
そのような形成力の強さは、体色が赤味がかることに現れてきます。
赤は、生命たちが「形作ろう」「存在を強めよう」とするときに表に現れてくる色彩です。
体の茶色を作るためには、緑にたくさんの赤色を足す必要があります。
また、これは推測の域を出ませんが、
個体群密度が高いバッタたちにとって、
生命のバトンをつなぐ必要性が薄いようにも感じます。
赤みがかるスピードからも自己強化をあまりに早め
早い老化をしているようにも感じます。
どなたか昆虫に詳しい方と、共同研究できたら嬉しく思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
バッタの色が緑色と茶色である理由と秘密、
バッタの色や性格は、やはりバッタが自分の生命をどのように維持し発展してゆくかというドラマに
関わっていました。
これからも色をとおして自然とともに生きることを、
発信してゆきたいと思います。
小さな生命も、私たちも今をめいいっぱい生き繋いでいる。
自然を知ることにはたくさんのエールがあるように思います。
ありがとうございました。