カワセミに会えることが多くなった。
彼のおかげで
朝の空気を
何度も味わいたいとする
体の欲求が戻ってくる。
1日が始まる以前の
まだ曖昧模糊とした始光につつまれて
凛と厳しく寒い、束の間の時間。
バイクの音が少し遠くに聞こえる。
吐く息が白く。
鳥のさえずりが聞こえる。
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数時間もすれば霜も溶けて
ここも騒がしさに包まれる。
誰かと誰かの交わす声や
重たそうなランドセルを背負って歩く子供や
どちらが散歩されているかわからない犬と人が
通ったりする。
私は
あのときあなたが尋ねてきた問いに
まだ答えられないでいる。
答えない、も
もはやあっていいかと思いながら。
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答えたくない類のものがある。
はっきりしてしまえば
なにかがこぼれ落ちて、生きないものが
私たちにはあったのではなかったか。
でも、じきに
またまばゆい光がやってくる。