夏から秋に近づくと、
緑だった葉っぱが一斉に黄色になったりオレンジになったり
赤くなったりします。
これを「紅葉」と私たちは呼ぶのですが
どうして葉っぱは紅葉するのでしょうか。

科学的回答。「赤」は「アントシアニン」

CANONさんが子どもたちにむけて提供している「キャノンサイエンスラボ・キッズ」では、
紅葉の科学的なしくみをわかりやすく教えてくれています。

▶︎紅葉のしくみ | キヤノンサイエンスラボ・キッズ | キヤノングローバル

みっきー

緑物質が弱くなると、元あった他の色素が目立つので、
葉が黄色くなったり茶色くなったりするんだね。

書かれてあることを勉強すると、
寒くなってくることで、葉の活動を抑える「離層」(葉への栄養の往来を阻害するもの)が葉の根元にでき、
クロロフィルという緑物質が弱くなることが原因だそうです。

ただ、紅葉(赤い葉っぱ)に関しては、
「アントシアニン」という赤物質が、何らかの理由で多くできることで、赤く色づいて見えるそうです。
でも、その「何らかの理由」という謎は、現代科学をもってしてもまだ解明されていないとのことです。

「自然」というのは、人間がどれだけ追いかけても、謎や不思議を多く秘めていますね。

葉の赤、アントシアニンの不思議

では、赤の色素をもつ物質、「アントシアニン」とはどのような物質なのでしょうか?

アントシアニンとは

赤系統の花を咲かせる植物が、持っている色素で、紫外線を吸収することが大きな特徴

「アントシアニン」とは、
赤系統の花を咲かせる植物が、持っている色素で、紫外線を吸収することが大きな特徴だそうです。
アントシアニンの量が多くなるとその植物の色づきも濃くなります。

太陽の強い光を和らげてくれるアントシアニン

夏の暑いときは、光合成が盛んになる植物たちですが、
寒くなってくるとその速度がゆっくりになります。

みっきー

太陽の光が強さや気温の変化が、
光合成に影響するんだね。

光合成の速度がゆっくりになった植物にとっては、
太陽の強い光は辛いものとなってきます。
「アントシアニン」はそんな太陽の強い光を柔らかくしてくれる役割をもっているそうです。
それは「アントシアニン」が、紫外線を吸収する力を持っているからだそうです。

頼もしい存在ですよね。

身近にあるアントシアニン

アントシアニンは果物や野菜などにも含まれていて、抗酸化作用があると言われていますが、
人間や植物や動物の、老化をゆるやかにしてくれるそうです。

視点を変えて「葉っぱが赤くなる理由」を考えてみよう!
人はなぜ、紅葉に価値をおくのか

では、今度は次のような視点から、葉っぱが赤く紅葉する理由を見てゆきたいと思います。

人はなぜ、紅葉をわざわざ観にいくのか。

人は紅葉を観光しにいきます。
お金を払ってでも紅葉を見たいと、多くの人が価値をおいているわけですね。
赤くなった葉っぱが一面に咲いているのを見ると、感動します。

科学は、「なぜ、植物が紅葉するのか」ということの因果関係を伝えてはくれます。
このことによって、葉っぱを赤らませたり、いろんなものを赤くする技術を身につけることができました。
一方で、科学は「人の心が、なぜ紅葉に価値をおくのか」には答えることは難しいです。

これは、人がいろんなものと円環的に関わりながら「生きる」という生命の活動をしているため、
因果関係を探究する方法だけではなかなか納得する回答を得ることができないんですね。

これについては、自然の本質や人間の心の本質を探究している、「色彩自然学」や「心理学」の分野が役立つのではないかと思います。

心がそれを求めている意味や価値を考えるには、心の深くから、
つまり、存在ということの本質的なところから物語ることが必要になります。

自然がもつ赤らむ宿命と絶頂

色彩自然学の礎となっているゲーテの形態学や色彩論においては、
真紅という赤の色彩が色彩現象の頂点におかれています。

自然を観察する中で、
天と地をつなぐ境界であったり、
光と闇をつなぐ境界であったり、
生命のバトンをつなぐところにこの色は登場します。

例えば夕焼けや朝焼けなどは、その色彩現象の1つです。
朝と夜、つまりは光の世界と闇の世界をつなぐところに
赤みががかった空の色が登場します。
人々はそれをマジックアワーと呼んだりします。
神々しく手を合わせたくなるような対極が結合する瞬間です。

ゲーテは私たち人間をふくむあらゆる自然が、
自分というものを突き詰めてゆきながら
いずれはその生命なりの絶頂を迎えることを、
動植物において観察しました。

またそれが
色彩においては赤らむという現象で見られることを発見しました。

緑の植物たちも
自己を実現しようとする中で、
それぞれの環境や状況に応じた速度で赤みを帯びてゆきます。

植物がその植物としての絶頂を迎えたとき、
青虫であれば、蝶々になったとき、
孔雀であれば、孔雀が成熟して色づいた羽を広げたとき
りんごの木であれば、りんごが実ったとき、
もみじであれば、紅葉したとき、
もっともその自然の生命がその生命らしく輝いたときに
赤みが増し、真紅が実現する
とゲーテは考えました。

それは私たち人間の個性化の過程にも深く関連しています。

色の本質や自然との関わりから赤ということを考えることは、
植物であっても動物であっても人間であっても、
同じ生命として、赤を宿す物語があることを見つけてゆくことができます。

こういった視点から、葉っぱの赤らむ理由を考えたとき、

葉っぱはなぜ赤く紅葉するのか

そのものとして絶頂をむかえるために、その葉っぱが努力しているから

ということも言えるのではないか、と私は思うのです。

試しに、緑の植物の気持ちになってみてください。
じっくりと赤らむことをイメージしてみることで、成長してゆけるような感覚が体験できるはずです。

まとめ

私たちが生きていく上で、
科学的な視点と、全体や結びつきからの自然学的視点も
どちらも必要なのではないかと私は強く思っています。

双方から、自然ということと向き合い、ともに生きることが
今後の人類に求められるのではないでしょうか。

色を知るということは、自然を知るということです。
そして、自然を知るということは、私を知るということにつながります。

今年も、近所の紅葉を見られることが楽しみです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。