蛹になろうとしているクロアゲハが今、目の前にいる

クロアゲハがうちのレモンにやってきて、
4匹育てることになった

1匹は弱々しくはやくに死んでしまって
3匹は元気に育って
むしゃむしゃ葉っぱを食べだした

食べていると大きくなって
体の緑が濃くなっていく
それが満ちたのか、
破水みたいな感じで突然体内の水をだして

ひたすらウロウロと動き回りだすことになる

その間に
体の色が透き通った黄緑色に変化していく

そして今、この状態

今から彼はカラカラに干からびたようになって
その古くなった服を脱いで蛹になる

数日蛹のまま過ごして
中ではドロドロになって、

地を這うものから
空を飛ぶものにまで変身する

生命というのは
ほんとうに不思議で

こういうことに
まるで出産に立ち会うときかのように
ドキドキさせられる

ウロチョロされると僕もウロチョロして
場所が決まって紐をかけて
固まっていくのを見ていたら
自分も同じような気がして

そんなふうに動いたことが
かつてあった気がしてきて

生命がつながっているというのは
頭でわかることではなくて

自然の一部であるということも
きっと頭でわかることではあまり役に立たなくて

それがわかっているのに
じゃあなんでこんなふうに
人にそれを説くような仕事をすることになったのか、

説いたところで余計なお世話なのではないか
意味がないんではないか

感じなければ
意味がないやないか

そんなことを思いながら
彼が今から数日かけて
大きな羽をもつ生き物に変わるだろうことを
他人事のようにしたい自分と
自分事のようにしたい自分とで
見とどける

自分がこの仕事を始めるきっかけになった
彼らのメタモルフォーゼ

今年もやっぱり
見届けるのが苦しくて切なくて
喜ばしくて誇らしくて

でも、身近に感じていたいし
今年もやってきてくれてありがとう